◆ナイトメア~引っ越し~【ホラー短編】

母の言葉に父の病状が悪化したのかと、心配になった。


『うん。急に高熱が出ちゃって、今日は付き添いして下さいって言うのよ』

「そうなんだ……」

『まあ、生きるの死ぬのって問題じゃ無いから心配しないで。それより、一人で大丈夫?』


いや、大丈夫じゃないけど……。

いい年して、留守番が嫌だ何ていえないよね。


新しい部屋での、最初の日。

本音では一人で過ごすのは嫌だったが、場合が場合だ。


「大丈夫だよ、お母さん。もう高校生なんだから、心配しないで。うん。明日、転校手続きの書類を持って行けばいいんだよね?」

『学校の場所は、書類の中に地図があるからそれを見て……って、大丈夫かしら。あんた方向音痴だから」

「大丈夫だって! 心配しないでって! 自分の娘を信用してよー」


痛いところを突かれてブーたれると、母がクスクス笑いを漏らした。


『じゃあ、頼むわね。何かあったら電話してね』

「うん。わかった」

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