◆ナイトメア~引っ越し~【ホラー短編】
「そう言いなさんな、3DKで月一万五千円だぞ。文句はいえないよ。まあ、今度の所も2、3年位だろうから、ガマンガマン」
大きめの荷物を抱えた父が、苦笑しながらアパートに入っていく。
ううっ、2、3年かぁ。
少なくても高校卒業までは、もう転校しなくてすむかぁ。
引っ越し自体は、色々な所に行けて楽しい面もある。
だけど、
せっかく仲良くなった友達とサヨナラするのは、何度引っ越しをしても慣れそうにない。
「そうそう。住めば都って言うでしょう?」
溜息を付く私の脇を、これまた大荷物を抱えた母が通り過ぎていく。
置いて行かれそうになった私は、慌てて二人の後を追う。
そりゃ、そうだけどさ。
どうせなら、綺麗なトコの方がいいじゃない?