◆ナイトメア~引っ越し~【ホラー短編】
「あ、うん。大丈夫。わざわざごめんね。こっちから病院に電話してみる。ありがとね」
礼を言って部屋に戻ろうとして私は、そう言えば近くの店を聞くんだったと思い出した。
「あ、ここの近所に、コンビニか何かあるかな? あれば教えて貰いたいんだけど」
「コンビニが、あるにはあるけど……」
真次くんが、言いにくそうに語尾を濁した。
「けど?」
「歩きだと、片道30分はかかるよ?」
近くのコンビニが、徒歩で30分!?
どんだけ田舎なんだ!?
驚きで思わず点目になっていると、真次くんがクスリと口の端を上げた。
笑うと、取っ付きにくい印象が少し柔らかくなる。
「夕飯の買い出しだろう? それで呼びに来たんだ、家のお袋が夕飯食べに来いってさ」