◆ナイトメア~引っ越し~【ホラー短編】
空腹は最上のソースだっていうけど、それを割り引いても石崎家の夕飯はとても美味しかった。
「明日の朝もいらっしゃい」との母上の、ありがたいお誘いに「はい」と笑顔で答えて、私は石崎家を後にした。
おまけに、ご丁寧に部屋の前まで真次くんが送ってくれた。
至れり尽くせりとはこのことだ。
「今日は、ありがとう。本当は腹ぺこだったから、助かっちゃった」
満腹で、私は機嫌がいい。
ニコニコ笑顔で真次くんにお礼を言った。
「あ、あれ、あそこ見て」
唐突に、真次くんがそう言って窓の外を指さした。
「え? 何、どこ?」
「ほら、あそこの電柱。街灯が付いているだろう?」
「え?」