◆ナイトメア~引っ越し~【ホラー短編】
私は訳も分からず、真次くんが指さす先に視線を送った。
でも、何も見えない。
暗闇の中。
ポツンと電柱に付けられた街灯の薄ぼんやりとした明かりが、アスファルトに、青白い丸い光を落としているだけだ。
「?」
顔にクエスチョンマークを浮かべた私の様子を見て、真次くんが口の端を上げた。
「あのさ、今日俺が言ったこと、忘れて」
「え?」
「念仏云々ってやつさ」
「ああ、あれ……」
一応、気にしてはいてくれたんだ。