◆ナイトメア~引っ越し~【ホラー短編】
◆バスタイム
一人の部屋は、シーンと静まり返っている。
テレビでも見られれば気も紛れるけど、まだ冷蔵庫意外の電化製品はみんな梱包したままなので、どうしようもない。
「ふう。しゃーない。お風呂にするかぁ」
ダイニングキッチンにあふれかえった段ボールの群を溜息を付いて見渡すと、私は、部屋から扉一枚ですぐ隣にあるお風呂場に向かった。
ガラリ。
木製の引き戸を開けると、正面に洋式トイレがあり左壁面に洗面台。
トイレは何度か使ったので、これは確認済み。
でもまだお風呂は見ていない。
右手壁側がお風呂になっていて、曇りガラスの向こうに白い湯船が見える。
カチャリ。
内開きのドアを開けると、目の前に広がるのは、真新しいユニットバス。
内部は、綺麗に掃除されていて、清潔感があった。
へえ。
水回りは全部、今風にリホームしてあるんだ。
お風呂も、古くて汚いものをイメージしていた私は、『ラッキー♪』と、早速湯船にお湯を入れ始めた。