◆ナイトメア~引っ越し~【ホラー短編】
やがて、水面の髪が私の目の前で一つに固まり出した。
すうっと、音もなく一ヶ所に集まる髪の毛。
だんだん、だんだんと、厚みを増していく。
「う……、あっ……」
声にならない悲鳴が喉の奥に張り付く。
でも止まらない。
髪はどんどん厚みを増していく。
何が起ころうとしているか予感した私は、パニックに陥った。
ダメ。
ニゲナクテハ、ダメ。
酷く緩慢な思考の中で、私がそう思ったとき、不意に集まる髪の動きが止まった。