◆ナイトメア~引っ越し~【ホラー短編】
「ええ~っ!?」
マジですか!?
この糞暑い中、3階まで何往復上り下りをしなければならないのか目算した私は、軽い目眩に襲われた。
自慢じゃないけど、私は文芸部。
力仕事には向いてない。
そんな体力ありません!
『むうぅ』と、眉根に力がこもる。
きっと、額には深い縦皺が出来ているに違いない。
そんな私にの様子を、見なくても分かるのか、
「心配するな。会社の若いのが、手伝いに来てくれる事になってるから」
と、笑いを含んだ父の声が飛んでくる。
「なんだ、そうならそうと、早く言ってよ~」
はあああっ。
余計な汗かいちゃったじゃない、もう。
思わず肩の力が抜け落ちる。
そのお手伝いさんが、一刻も早く来てくれることを祈ろう。
そう心から願いつつ、私は両親の後に続いて階段を上り始めた。