◆ナイトメア~引っ越し~【ホラー短編】
◆結末
「美鈴!」
自分を呼ぶ、聞き慣れた声。
「美鈴っ!」
強く、体を揺さぶられて、私はゆっくり目を開けた。
そこには、見慣れた母の顔。
心配げに歪められた母の顔にゆっくりと視線を這わせると、私は掠れる声を絞り出した。
「……お母さん?」
「お母さんじゃないわよ! 何やってるの! お風呂で溺れかけるなんてっ!」
心配のあまり逆切れして怒る母に、ぎゅっと抱きしめられる。
フワリとした温もりを感じて、私は自分が生きていることを実感した。
頬を、温かいもの伝い落ちる。