◆ナイトメア~引っ越し~【ホラー短編】
そのあと、私は40度の高熱を出して肺炎をおこしかけ、病院に入院した。
3日3晩苦しんだ後、熱は嘘のように下がった。
「ごめん……」
熱が下がったことを聞いた真次くんが、病室に見舞いに来て第一声そう言って、すまなそうに頭を下げた。
「なんで謝るの?」
私は、妙に穏やかな気持ちでいた。
「大丈夫だと思ったんだ。あの時、坂田さんは何も見えない様子だったから、問題無いと思った。俺の考えが甘かったよ」
私には、真次くんの言っていることが理解出来た。
『あの時』とは、真次くんが部屋まで送ってくれた時、電柱を指さした時のことだ。