◆ナイトメア~引っ越し~【ホラー短編】
「あの時、石崎くんには、何が見えたの?」
私の質問に、真次くんの瞳に迷いの影が揺れる。
話そうかどうか迷っている、そんな風に見えた。
私は、その瞳を真っ直ぐ見詰める。
少し眉根を寄せた真次君は、意を決したように静かに口を開いた。
「俺には、形として見える訳じゃないんだ。ただ、黒い影のように見える」
「……幽霊なの?」
「たぶん」
そっか。
真次君、霊感小僧だったんだ。
「ありがとう」
「え?」
お礼を言う私を、真次君のキョトンとした瞳が見詰める。