◆ナイトメア~引っ越し~【ホラー短編】

こつん、こつん。

こつん、こつん、こつん。


しんと静まりかえった階段室に、私たち家族の足音だけがうつろに響く。


少し薄暗くジメッとしたコンクリートの内階段は、まるで個性という物がない。


踏み板部分のコンクリートには長年の色々な汚れが染みついていて、濃いグレーの色彩の中に不気味な模様を浮かび上がらせている。


点が三つ並んでいると、顔に見えてくると言うけど、確かにそんな気がしてくるから不思議。


何度も塗り重ねて来たのだろう、妙にボテッと厚みを感じさせるクリーム色の壁は、外壁と一緒ですすけて黒い蜘蛛の巣状のヒビが走っていた。


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