みすみの花が開くとき
放送室。


遥が座って居た椅子には、紙が一枚。


『花月ちゃんへ。

今日の活動は終了しました。

勝手に帰っていいよ』


僕は無視か。

まぁ、追い出されたような感じだったしなぁ。





…高杉先輩が帰っててよかった。

花月さんが『高杉先輩達も誘おう…?』って言った時は、正直、テンション下がったけど。

高杉先輩。もしかして、これも、貴方の気遣いですか?


「先輩達は居ないみたいだし、行こっか」

「…うん…」


僕と二人っきりは、そんなに嫌ですか?

意思表示下手そうだし、無理して付き合ってくれてるのかもな。


「やっぱ、やめとく?」


白い花が揺れる。


「なんで…?」

「無理してるかなって思って」

「…近衛くんが?」


とんでもない。


「花月さんが」


雪は穏やか笑った。


「あたしは、無理なんてしてないよ…?

…むしろ、嬉しいよ?

…柾にも英兎くんにも、…聡兄ぃにも、こんな風に誘われた事無いし」

「よかった。じゃ、行こうか」

「…うん」


『…』が入るのは、まだ、慣れてないって事なのかな?


二人は、放送室を出た。


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