みすみの花が開くとき
玉兎は目を細めた。


「…でも、まさか、雪ちゃんが男の子連れて来るとはなぁ。しかも近衛君だし」


雪は両手を前に突き出して、激しく振った。


「ち、違いますっ!近衛くんは、そういうのじゃないですっ!」


そんなに激しく否定しなくてもなぁ。

そんなに嫌ですか?


「近衛くんもっ!」

「はひぃっ?」


げ、裏返っちゃった。

急に振るんだもんよ。


「ちょっとは否定してよっ!」

「僕は、別に、嫌じゃないし」

「あたしだって、嫌じゃないけどっ!悔しいのっ!」

「ありがとう」


雪は虚を突かれたように口ごもった。


「…近衛くん?」

「嫌じゃないって」

「…その、…それは…」


雪はうつむいて、ほんのりと頬を染めた。


「…ご注文は?」


玉兎はくすくすと笑っていた。



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