みすみの花が開くとき
玉兎がカップを二つ、持って現れる。


「お待たせしました」


置かれたカップからは、ほどよい湯気がたっていた。


「ごゆっくり」


玉兎はまた、下がって行った。


「花月さん。これ、飲んだ事、有る?」


白い花が揺れる。


「うん。…前に飲んだ時は、冬だったかな」

「味、覚えてる?」


白い花は、別の方向に揺れた。


「…微妙かな」

「そう。よかった」

「関係無いんじゃない?美味しいものは、いつでも美味しいはずだよ」

「なるほど」


なんか、さすが、自称《柾と英兎のお姉ちゃん》って感じ?

落ち着いてて、物事が解ってるみたいっていうか。

聡明っていうのかな?

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