みすみの花が開くとき
雪は不思議そうな目を向けた。


「…近衛くん。にやけてるよ」


顔に手を当てる。


「え、キモかった?」


白い花が揺れる。


「大丈夫。…いつもと変わらない、男前だよ?」


『男前』って、久しぶりに聞いたな。


「花月さんって、意外と皮肉っぽいね」

「なんで?」

「僕は男前じゃないよ」

「…かっこいい、の方がよかった?」

「かっこよくもないよ。…屋上の時も言ってたよね、それ」


雪はそっぽを向けた。


「あたしは、…かっこいいと思ったから、そう言ったの…」

「変なの」

「…近衛くんに、あたしの想いを否定する権利なんて、無いよ」


そりゃ、そうだけどさ。



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