みすみの花が開くとき
花月さんの、英兎への信用の深さが妬ましかった。


「…英兎は、花月さんの事、置いて帰ってるじゃん。

それに、佐橋が血迷ったのだって、英兎が原因だし…」


言ってから、後悔する。

雪は瞳に涙を溜めていた。


「…ごめん…」


…気ぃ利かないな、僕は。





長い沈黙。





「…近衛くんは…、英兎くんの友達…じゃないの…?」


涙声だった。


「…多分、…友達」


雪は顔を上げた。


「じゃあ…、なんで、信じてあげないの…?

…英兎くんがこんな事しても…、きっと理由が有るはずだとか…、なんで、思わないの…?」


「…ごめん…。…そうだね…」


あぁ。キレイなのは、声とか顔だけじゃないな。





…本当に…、キレイだ…。


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