みすみの花が開くとき
雪は小指を差し出した。


「…指切り」


あぁ、しろって事か。


小指を差し出す。

指が絡みつけられる。


花月さんの指、細いな。


「英兎くんは、理由も無くひどい事しない。いい?」

「うん。解ったよ」

「ゆーび切ったっ!」


雪は白い歯をのぞかせて笑った。


指切りなんて、久しぶりにやったな。

…やっぱり、子供扱い?


「そろそろ、出た方がいいかな?」

「そうだね…」


カップは二つとも空になっていた。

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