みすみの花が開くとき
「…返事、聞かせてよ」

「ごめん」


都は眉を寄せて笑った。


「早いね」

「…ごめん。好きな人が居るんだ」

「私、勝てない?」

「…ごめん」


都は顎に指をあてがった。


「…花月さん、だよね?」


付加疑問か。


「…うん」


花月さんに聞こえませんように。

いや、聞こえた方がいいかな?


「英兎くん、変に正しい情報をくれるのねぇ」


また?

垂れ流し過ぎだろ。

一応、信じてはいるけど。


「メール、これからもしていい?」

「え…?」


都は肩をすくめた。


「友達としてよ」

「あぁ…、うん。よろしく。友達として」

「…頑張ってよ?」


少し、震えた声。


…ごめん。


「うん」

「じゃ、グッドラック!」


都は手を振り回しながら、屋上を降りた。



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