みすみの花が開くとき
「やぁ、起きたね」


振り返る。


柔和な笑顔の、ツヤの有る長い白髪を後ろにまとめた男性が居た。


誰?


「…えっと、貴方は…?」


男性は膝を指した。


「その毛布の持ち主だよ」

「あ、ありがとうございます…」


こんな言葉しか出てこないなんて、情けない。


「身体、冷えてるでしょ?入りなよ」

「入る?」





「ここは、私の店の裏なんだ」


< 15 / 307 >

この作品をシェア

pagetop