みすみの花が開くとき
世界が、時間が止まったような…。

擬音で表すなら、《ほわ~ん》とか《ぽわ~ん》みたいな…。




そんな感じ。





「僕の事が、…好き…?」


白い花が揺れる。


「…ラヴ?」


また、揺れる。


「…僕も、好きなんだけど…」


雪は顔を上げた。


深呼吸。


あぁ、身体中が…熱い…。


深呼吸。


「…僕と、付き合ってくれませんか…?」


その言葉は、あっさりと口から出た。


言っちゃった。

言っちゃったよ。


「…あたし、入院してたから、いっこ年上だよ…?」


《お姉さん》の理由は、それか。


「関係無いよ」

「…あたし、怖がって、…その、性的っていうか…、恋人同士がするような事、出来ないかも…」

「一緒に居るのも、駄目?」


雪はさらに、頬を染めている。





長い沈黙。





「…ふつつか者ですが…」





清水が、染み渡る。





「よろしくね…」


言いながら、心臓発作を心配していた。


「ふつつか者ですが」

< 152 / 307 >

この作品をシェア

pagetop