みすみの花が開くとき
結局その日は、雑談をしただけで日が暮れた。





並んで歩く、帰り道。


「…誠のアホ」

「ごめん」


雪は頬を膨らませた。


「誠がノッちゃうから、話が長くなっちゃうんだよ…」

「ごめんって」

「…誠のアホ」


手を合わせる。


「ごめん。奢るから、許して?」

「…奢る?」

「うん」

「…《Lievre》?」


言葉に詰まる。


「…いいよ。許してあげる。

あたし、あそこの紅茶、好きだし」


雪は白い歯をのぞかせて笑った。


「ありがとう。…かわいいよ、雪」


雪は頬を染めた。


「…誠って、そういうキャラだったの…?」





本当に、重症だよね、僕。


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