みすみの花が開くとき
Lievre。





「何でも、好きなもの、頼んでいいよ」

「…あの紅茶」

「だけ?」

「…ここの紅茶、玉兎さんのオリジナルなんだよ」

「いや、ケーキとか頼んでいいよ?」

「ここの…、高いよ」

「いいよ?」

「…悪いし…。それに、作った方が安いよ」

「…ご注文は?」


玉兎は溜息をついた。


「雪ちゃん。営業妨害かな?」

「あ、いえ、紅茶は好きですよ…?」

「作った方が安いのは当たり前だよ」

「…解ってますよ」

「なんなら、作って来るかい?」

「…いいんですか?」

「そのかわり、あのベンチで食べてね。

お客さんがメニューと勘違いするといけないし、持ち込み自由だと思われても困るし」

「…解りました」

まずい。置いてきぼりだ。


「雪が作ってくれるの?」

「…誠は作れないでしょ?」

「不公平じゃん」

「いいよ。…あたし、お菓子作るの好きだし」


…何か出来ないかな。


< 157 / 307 >

この作品をシェア

pagetop