みすみの花が開くとき
《Lievre》





茶色の木製品。

それに合わせたような壁と床。

天井には、シーリングファンが回っていた。


店名はフランス語で、《リエーヴル》と読むと店主は言った。

店主はカップを差し出した。

受け取ると、鮮やかな茶色の紅茶が湯気を立てていた。


「えっと…」


店主はにこり、と笑った。


「私の奢りだよ」

「すみません…」

「ありがとう、の方が嬉しいかな」

「…ありがとうございます」

「どういたしまして」


一口。





熱が─





味が─





香が─






身体中に満ちてゆく─

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