みすみの花が開くとき
「近衛君よ。この凜姉さんが腕前を見てあげよう」

「いえ。僕のなんて、お客様に出せる物では…」

「マスター!

近衛君の紅茶を一つ、お願いしまーす」


玉兎は頷いた。


「ご注文なら、仕方ないね。

近衛君。やってみなよ」


…まぁ、これも修行だな。





─カップとポットは既に温まっている─





茶葉を受け取る。

ハイビスカス等、様々な茶葉を玉兎がブレンドした物だ。

─分量を正確に量り、温まっているポットに入れる─





─沸騰した湯を注ぎ、ふたをして、蒸らす─





─三分経過─





─ポットの中をスプーンで軽く混ぜる─





─茶漉しでこしつつ、濃さが均等になるようにカップに注ぐ─





─ゴールデン・ドロップ (最後の一滴)まで注ぎきる─





「…ふむ。手際はいいね」


玉兎はしみじみと言った。


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