みすみの花が開くとき
「ゆ…き…?」





「…誠の…アホ…」


雪は走り去った。

あわてて、駆け出す。

屋上の入り口に手をかける。

力を入れる前に、扉が開く。





扉の開いた先には、英兎が居た。


「どけ、英兎」


英兎はくすくすと笑っている。


「おはよ、誠」

「あぁ、おはような。雪を見たろ、追うから、そこをどけ」

「あ~れあれぇ?名前で呼んでるんだぁ?」

「邪魔だ、どけ!」


思いの外、声が響く。


「いーけど。誠、柾みたいだよぅ?」


英兎はくすくすと笑っていた。

< 167 / 307 >

この作品をシェア

pagetop