みすみの花が開くとき
看板は『CLOSED』。

舌打ち。


他には?

クソ…!





クソ…!





クソ…!





…僕は…!





…なんで、こんなにも…彼女について無知なんだ!





「あ~れあれぇ?誠。おサボりぃ?」


振り返る。





英兎がくすくすと笑っていた。


なんで、ここに居る?


「…英兎。雪が何処に居るか、知ってるか?」

「目星なら、つくよぅ」

「教えてくれ。頼む」


英兎はわざとらしく考えるフリをした。

『忙しい』と言う人ほど暇なものである。


「いーよ。そのかわり、ダッシュでね?」


英兎は二つ折りにした紙を差し出した。


用意済み…?…妙だな。


「はい。じゃ、行っけ~!」

「言われなくても!」


駆け出す。

英兎はくすくすと笑っていた。





雪。待ってて…!

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