みすみの花が開くとき
開店したばかりらしく、店内には客が居ない。


雪…。何処だ?

トイレ?


トイレ。

無人。

口の中で舌打ち。


何処だ…?





キッチン?

スタッフルーム?

いや、なんで、そんな所に入れる?





何処だ…?





「お客様?」


振り返る。


不審そうな眼をした店員だった。


「えっと…。知り合いを捜してるんスけど…」

「その方のお名前は…」

「花月っていう人なんスけど」

「…もうしばらくしたら来るはずですので、奥でお待ち下さい」


もうしばらく?


スタッフルームに通される。


「お待ち下さい」


いや、もうしばらくって…?


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