みすみの花が開くとき
雪は又か未だか、涙に濡れて居た。


「雪…」

「…誠は…、あたしの…どこが好きなの…?」


どこが…?





顔も─





声も─





中身も─





「僕が知ってる雪の事は、全部…」


雪は唇を噛んだ。


「…じゃあ…、あたしとよく似てて…。

あたしよりも明るくて…、キレイで…、スキンシップいっぱいのお姉さんが居たら…。

誠は…、それでも、あたしを…選んでくれる…?」


胸につっかえるような、違和感。


「何言って…」

「…応えて…」


そんなの…、応えるまでもない。

答は、決まってる。

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