みすみの花が開くとき
口笛。

振り返る。

凜が口の端で笑って居た。


「お姉ちゃん!」

「え?」


凜は軽く手を挙げた。


「やぁ、かわいい妹と、見習いの近衛くん。

朝っぱらから、元気だね」


凜さんの妹って…、雪だったんだ?


「…いつから見てたんスか?」

「『人違い…ですぅ…』くらいからかな」

「結構、最初の方ッスね」

「青春だったね」


凜はくすくすと笑っている。


「しかし、引き合わせるまでもなかったんだね。アツいじゃん?」

「もう!お姉ちゃんはどっか行ってよ!」


雪、顔赤いなぁ。


「お姉ちゃんは、ここでバイトしてんだけど」

「いいよ、出て行くから!

行こ、誠!」


手を引かれる。


「誠くんってんだ?雪をよろしくね」

「はいッス」

「お姉ちゃん、うるさい!」

「はいへい」


二人は店を出た。


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