みすみの花が開くとき
「どこ行くの?」

「…えっと、じゃあ…、あのベンチ!」

「近いね」

「いいの。…あたし、ちょっと、取って来るものが有るから、少し待ってて」

「うん。解った」


雪は小走りに去って行った。





ベンチに座る。





…取って来るものって、何だろう?

さっぱり。

まぁ、いいか。すぐに判る。





「そんなににやけてるのは、上手くいったからかなぁ?」


振り返る。





英兎がくすくすと笑って居た。


「英兎か。ありがとな、雪の居場所を教えてくれて…」

「居場所を知ってるだけじゃ、どうにもならなかったでしょ?

上手くいったのは、誠が誠だったからだよ。

…本当に、上手くいったよ。全部、ね」


…妙だな?


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