みすみの花が開くとき
花月さん、かわいいなぁ。

昨日は、ほとんど顔見れなかったけど。


「…あ、近衛くん…」





清水が染み渡る。





怯えているのか、その声は微かに震えていた。


「覚えてくれたんだ」


なんで、いつも通りの声で喋れるんだか。


雪は僅かに俯いた。





昨日と同じヘアピンが目に留まる。


気に入ってるのかな?

この花は、いつも、この声を聞いていられるのか。





…いいなぁ。





…ヘアピンに羨望って。

末期だな、僕。


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