みすみの花が開くとき
雪は誠の襟元を指した。


「それ…」

「変かな?」

「…うん」

「雪がくれたんじゃん」

「…あの時は、何も思いつかなくて…。

…迷惑だったよね…。…ごめん。今度、ちゃんとしたプレゼント、考えておくから…」


雪は言いながら、どんどん俯いていく。


朝からもー。


ヘアピンの刺さっていない黒髪を撫でる。


「…誠…?」


雪の髪、ふわふわだなぁ。気持ちいい。


笑顔を作る。


「僕は、このヘアピン貰って、嬉しいよ?

…大切な物なんでしょ?なんか、認められたみたいで嬉しいんだ」

「誠…」


時計を見る。


「雪。行こ?」


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