みすみの花が開くとき
遥は充夏を放した。

充夏は咳き込んだ。

雪はそこではじめて惨状に気付いたのか、充夏の顔を心配そうに覗き込んだ。


「…部長…。大丈夫ですか…?」


雪は、充夏も未だ恐いのか、顔を覗き込む以上の接近はしなかった。


「花月…。部長さんにはお前が天使に見えるよ…」

「…はい…?」


雪は小首を傾げた。


「いいの。花月ちゃんは気にしないでも」

「遥…。お前は悪魔に…」


遥は無言で、充夏の腹を打った。


「こ…の…、悪魔…」


充夏は床に転がった。

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