みすみの花が開くとき
「誠が…、通り魔に…?」


理解が追いつかなかった。

否。

理解したくなかった。


「誠さんは、今、救急車で運ばれるところです」


紅葉の声が、どこか遠く聴こえた。


「誠さんは腹部をナイフで…」


そんな事、聴きたくない。


「誠は無事なの…?」

「はい。今のところは…」


軽い安堵感。


「何処の病院?」

「行きましょう。閑と陰矢も一緒に」


紅葉は踏み出した。


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