みすみの花が開くとき
その質問は否定される事を願って。


親友の幸せを願えないなんて、最低だな、僕は。

…あぁ。『はい』って言われたら、落ち着いていられるかな?

待つ間がつらい。

…ヘタレめ。





「…はい…?」


雪は小首を傾げた。

白い花が揺れる。


「…あたしと、柾が…」

「付き合ってるって聞いたんだけど。英兎から」


また、白い花が揺れる。


「…英兎くん、ですか?…あの子も、柾と同じくらい長い付き合いですから…、そんな勘違い…するはず無いと思いますけど…」

「アイツ、『雪ちゃんは柾の大切な人』って…」


雪は困ったように笑った。


「…それは多分、昔から知ってるから…、お姉ちゃんみたいに思ってるんだと思います」


…あのショタウサギめ、ややこしい言い方しやがって。





…よかった…。





「…お悩みって、それですか?」

「まぁ、ね」





…もう一つ、残ってるけど。


「そうですか…。よかったです」


雪は穏やかに笑った。

つられて、笑う。





白い花が眩しかった。
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