みすみの花が開くとき
放課後。


「誠。バスケ部に見学、来ない?」

「柾か佐橋誘えば?」


英兎は溜息をついた。


「柾はゲット済み。よっしーはラグビー部なんだって」

「へぇ」


よっしーって。


「ね、行こーよぅ」


面倒だな。朝練とか有ったら、屋上に行けないし。





「あの」





振り返る。

腰まで伸びた茶髪が印象的な少女が立っていた。


誰?他のクラスの人?


「あ、城戸さんだぁ」


英兎の知り合いか。


「じゃあ、僕、帰るな」


肩を掴まれる。


「放せよ」





「むふ。城戸さんが声かけたのは、誠だよ」





「は?」


振り返る。

少女に、二つ折りになった紙を押し付けられる。


「えっと、それじゃ!」


少女は走り去っていった。


何、これ?


「じゃ、ぼくは部活に行くよ。またねぇ」


いや、何、これ。





…まぁ、いいか。

< 32 / 307 >

この作品をシェア

pagetop