みすみの花が開くとき
周りを見回す。


…知り合いが居ない。

帰るか。


1-Dを出る。





何気無く、放送室の前で足を止める。


僕らンとこの放送室って、体育館とも職員室とも離れてるよな。

僕には関係無いけど。


放送室の扉が開く。

反射的に身構える。





顔を出したのは雪だった。





一気に高鳴る鼓動。


「…あ、近衛くん。どうしたんですか?」


朝から聞いていなかった声は、少し硬かった。


「…あ、もしかして…、入部希望者ですか?」


え、何の?


雪は困ったように笑った。


「…その反応は…、違うみたいですね」

「ここ、何部?」

「…放送室の前で言う台詞ですか?」


あ、放送部か。

バカ丸出し?

嫌われたかな?


雪はくすくすと笑っている。


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