みすみの花が開くとき
放送室。


「高杉先輩、新入部員ですよっ」


見ると、縁の無い眼鏡をかけた、髪の長い少女が、腕を組んでパイプ椅子に座っていた。


「知ってる。声、デカかったし」


少女はそっぽを向いている。

雪はうつむいた。


「…すみません」

「いいって。

にしても、花月ちゃんの声がこんなに弾んでんの、初めて聞いたよ」


初めてもなにも、知り合って浅いんじゃ?


『高杉先輩』が向き直る。

「で、新入部員君」

「近衛ッス」

「今日は見学でしょ」

「ウス」

「返事がゴツいね、文化部で」


どう言えば正解だったんだろ?

いや、それは重要じゃないか。

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