みすみの花が開くとき
活動終了。


「じゃ、新入部員くん」

「近衛ッス」

「明日は入部届持って来てね」


スルーか。


「はいッス」


放送室を出る。





「…という感じなんですけど」

「うん」


よく覚えてないけど。


「…あ。柾と英兎くん、もう部活終わってますよね。お迎えに行きましょう…?」


え、せっかく二人っきりなのに。

…と思ってるのは僕だけって事か。





総合体育館。





「…あれ…、居ないですね…?」


見えないようにガッツポーズ。


「先に帰ったんじゃない?僕らも帰ろ?」





「…はい…」





その声がとても悲しげに、沈んでるように聞こえて、二人っきりの帰り道を喜ぶ気にはなれなかった。


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