みすみの花が開くとき
屋上への階段。


花月さん、居るかな?


柾とは正門で別れていた。


屋上。





当然のように、雪は居た。





深呼吸。





雪は少し、うつむいていた。





深呼吸。





「花月さん、おはよ」


雪は身を強張らせた。


「…近衛くん、ですか…?」


その声は硬かった。

雪はそろり、と振り返った。


「近衛くん、ですけど」


僕、何かしたっけ?


「…今日も、来たんですか?」

「この通り」

「…あたしが居るかも知れないのに…?」


苦笑。





居るかも知れないからなんだけどね?


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