みすみの花が開くとき
「僕ら、ケンカしてたっけ?」


雪は少し、うつむいている。


「…あたし、無理矢理放送部に誘ったし…。

それにこの前、近衛くん走って帰っちゃったし…」


消え入りそうな声だった。


この前、僕、走ったんだ。

思わぬところで人を傷つけてるモンだな。


「まず、走ったのは、なんか恥ずかしかったからで…。放送部に入ったのも、無理矢理とは思ってないよ。

傷つけたみたいだね。

…ごめん」

「本当…?」

「知り合って浅い野郎は信じられない?」


白い花は横に揺れた。


「…柾も英兎くんも、近衛くんはいい人だって言ってたし…」


…また、アイツら…。




…モヤモヤ…。


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