みすみの花が開くとき
総合体育館。


入学式が終わり、伸びをしたり、知り合いを捜す影がちらほら。


どこに居るんだろ?柾と英兎。





…と、さっきの人。





同じように周りを見回す影の一つが目に留まる。





捜し人・その3。





さっきの人!





踏み出す。

肩を掴まれる。


「や、誠」


口の中で舌打ち。


捜し人・その2。


「あぁ、英兎」


彼のルックスは中性的と言うよりも女性的だった。


「英兎さ、あの人、知ってるか?」

「は?」


指差した先に、既に少女は居なかった。


まさか、幻とかじゃないよな?


「それよりさ、クラス行こーよ。ぼくも柾も誠も一緒だし。1-Dだよ」

「知ってる。そういえば、柾は?」

「先に行っちゃったんだ、あの薄情者めぇ」


英兎は頬を膨らませた。


苦笑。


高校生のリアクションかよ?


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