みすみの花が開くとき
放送室。


…『至急』、ねぇ?


室内には、雪が居た。


「あ、近衛くん…。来ましたね」

「僕、何かしたっけ?」

「してたら、職員室に呼ばれてますよ」


…僕、いいトコ無いなぁ。


雪は少しうつむいた。

その指先は相方を弄び合っている。





「…近衛くんを呼んだのはですね、早く放送部のお仕事を覚えて欲しかったのと、…その、メアドを教えて欲しかったのと…、二つ、理由が有りまして…」





後半の声は、ほとんど消え入りそうなものだった。





城戸さんには失礼かも知れないけど、城戸さんに聞かれた時の何倍も嬉しかった。


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