みすみの花が開くとき
1-D。


英兎は一人の少年に駆け寄った。


「柾ぃ。置いてきぼりなんて、ヒドイよぅ」


体格のいい少年が振り返る。

捜し人・その1。


「よぉ、ウサ。遅ぇぞ」


言って、柾は後ろを庇うように向き直った。


「よ、柾。先に行くなら、言えよ」

「…よぉ、誠」


歯切れ悪いな?

声も、いつもより低い。


「トーン、低くないか?」

「何でもねぇよ」


何か、隠してるのか?




「柾。誠は、いきなり雪ちゃんを襲うようなヤツじゃないと思うよぅ?」


同時に振り返る。

英兎はくすくすと笑っていた。


襲う?雪ちゃん?

何の話?


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