みすみの花が開くとき
職員室の前。


結局、顧問の名前すら思い出せなかった。





まぁ、いいか。

顧問に用は無い。





「…近衛くん?」





いつの間にか、雪が居た。


「どうしたんですか?

ぼーっとしてましたけど」


間抜けヅラって事?


「花月さん捜しに」


白い花が揺れる。

雪は不思議そうな顔をしている。


「近衛くんって、変なコですね」

「そう?」

「屋上の事もですけど」

「なにが?」

「なんで、いつも屋上に来るんですか?」

「それ、この間は僕の台詞だったよね」

「なんでですか?」

「僕の勝手」

「それ、あたしの台詞でした」





…こんな、何でもないような会話でも嬉しいなんて、変だな?


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