みすみの花が開くとき
「僕に、何か用ッスか?」

「君さ、花月ちゃん目当てなんだよね?」

「はいッス」


さっきも言ったけど。


「好きって事?」





花月さんの声を、ずっと聞いていたい。





…これは、《好き》?


「はいッス」





「それってさ、例えばアイドルのファンみたいな感じ?

少し気に入らないトコが見つかったり、過去に酷い事が有ったって知ったりしたら冷めちゃうような、都合のいいもの?」





なんだ?


「いえ」

「覚悟は、有る?」


何の?





いや、何だとしても。




「はいッス」


遥は見切りでもするような鋭い目付きをした。


「本当ね?」

「はいッス」





重い沈黙。





「…じゃ、花月ちゃんの側で、あのコを守ってあげてね」


遥は表情を緩めた。


「はいッス!」

「話はそんだけ。行っていいよ」

「はいッス」


背を向ける。


「あ、それから」


振り返る。


「言いたい事は、ちゃんと言いなよ?」


…ふむ。


「高杉先輩。話長いッスよ」

「花月ちゃんにだよ」

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