みすみの花が開くとき
…あ、この人、もしかして、城戸さん?


「そういえば、城戸さんは、なんでここに来たの?」

「ふふ。近衛くんに会いに、ね」


よし。城戸さんだ。


「変なの」

「近衛くんもでしょ」


苦笑。


「しつこいって」


少女は目を細めて、一階分突き出ている、屋上の入り口の上に目を向けた。


「いいなぁ、花月さん」

「は?」


少女の視線を追う。

太陽の光に眉を寄せる。


「独り言」

「ふぅん」





雪は姿を見せなかった。


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