みすみの花が開くとき
ふ、と総合体育館の裏に目を向ける。





あ、花月さんだ。





と、…佐橋?


雪は壁に背を寄せ、うつむき気味に義成の話を聞いていた。


何話してんだろ?





…モヤモヤ…。





雪の目元が光る。





…花月さん、泣いてる?





頭から言葉が吹き飛ぶ。





踏み出す。





雪が気付き、義成が気付いた。





雪の手を引く。





「行こ、花月さん」





義成を睨む。





雪の手は細かく震えていた。


< 74 / 307 >

この作品をシェア

pagetop