みすみの花が開くとき
放送室。


結局、自販機でお茶を買って帰った。

雪は相変わらず、うつむいていた。

遥は雪に背を向け、機材を操作していた。


進展、有りました?





「高杉先輩。お茶ッス」

「ん、ありがと。遅かったけど」


遥は振り返らなかった。


「じゃ、君はもう帰っていいよ」

「はい?」

「花月ちゃんの話は聞いたし、放送も問題無い。君のお茶待ちだったの」


進展は有ったのか。


「今日、高杉先輩って、当番じゃないッスよね」


高杉先輩が帰るのが正しいんじゃ?


「先輩として、後輩のフォローは当然。

あ、帰れって事?」


まぁ、当たりッスけど。


「君は初心者だし、花月ちゃんにちょっかい出しそうだし、任せられないよ」


は?後半、意味不明。


「どういう意味ッスか」

「花月ちゃんが落ち着いたら、聞きな」


言葉に詰まる。


「…君は、守るって言ったじゃん」





放送室に背を向けた。

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